どのカテゴリに入れるか迷いましたが、今回はオールトの雲とうちのゴーストの話です。ちょう手前味噌。
もとはこのゴーストの設定って結構えろい気がする、という思いつきからはじめました。
双方FSWと言ってもあまり破壊的な設定はつけてないつもりですが、あちらのゴースト側でどう受け取られるか(または受け取られないか)は別の話。
ちなみにサンティアゴの外見設定は冷感幼女相当。設定だけ、というシェルの使い方ってアリなんだろうか。
あと彼女の名前の由来はキリスト教の聖ヤコブでもあるのですが、より直接的な由来はマイク・レズニックの『サンティアゴ』です。
月: 2007年6月
『彼女の時間』6?
これはバベル網の物語ではない。
あるネットゲームの物語だ。
ちゃんとした更新の前にひとつ
匿名の方から『繋がれた風?』とだけメッセージを書かれたメールをいただきました。
繋がれた風の感想希望という意味でしょうか?
しかし、やっぱり色々遅れてるなあ。
6月が終わる前にこっちもちゃんと更新をしたいのですが。
このブログで公開できるような更新はしばらくなさそう
仕事とサイトの更新を両立している人は本当に凄いと思います。
でもまだMixiに書いててこっちには書いてないネタはありますが、いりますか?
って、この「いりますか?」は誰に向かっての言葉なんだろう。
ともかく、まずは今このサイトを見ているあなたに。
今まで公開を選んでいなかったということで、実際見たら何かと判断に困りそうな代物ですが。
つうか四の五の言わずに全部転載すべきなのかしら。
完全な私信はさすがに除くとしても。ああでもMixi内の他の人の記事読んでないとわかんないネタとかもあるんだよな。
連続掌編『月に愛された男』(2)
セレネちゃんの瞳は、澄んだ湖底のように綺麗な青色だった。
だからその瞳が黒く変わる時、もう〈代理人〉は〈代理人〉じゃなくなる。
今僕の目の前にいるのは、普通の人間の女の子だ。
「説明しなさい」
彼女が僕の方に鋭い視線を向けた。擬音にするなら、“きっ”ていう感じで。
この女の子は僕の幼馴染でもあり、今では同じ高校のクラスメートでもある。
「説明?」
「とぼけないで。あたし、つい数秒前まで家でくつろいでたのよ? なんでそれが、あんたの目の前にいなきゃならないの」
「あー……そりゃまあ、疑問にも思うよな」
「そうよ。それに一度ならまだいいけど、これで何回目だと思ってるの」
「しかもその時には、決まって僕がいたと」
「いたと、じゃなくて。ほら、あたしの事を見てたんならちゃんと見てきた事を言う」
「実は君は月の女神に憑依されてたんだよ。ついでに言えばその女神は僕とらぶらぶちゅっちゅな関係なんだが」
「へー」
「……全く信じてないね?」
「十歩譲ってあたしがそういう妄想を発症してたとしても、後者はありえないわ」
妄想かよ。
彼女は昔から頭が良かったし、これで柔軟性もあるんだが、さすがにセレネちゃんの事を信じられるほど柔らかい頭じゃないらしい。
もっとも僕の方も、〈代理〉の秘密については本当に理解してるわけでもなんでもないんだよなあ。
「……なに見てるの?」
「いや、僕と君も付き合いは長いけどさ」
「?」
「最近とみに胸が大きくなったな、って」
「…………」
「柔らかそうだよね」
「そうね」
「スルー!?」
「そして殺すわ」
「そして!? ゆ、許してくださいお願いします!」
「はあ……あんたはあたしの事を、何だと思ってるの?」
「……つ、ツンデレ?」
「ふざけんな」
超土下座した。
“謝るくらいならセクハラしなきゃいいのに……”と呆れた表情で見下される。ちょっと快感。
「……もういいわ。その代わり、ひとつ聞いて」
「お、おお。なにかな?」
「そろそろ帰りましょう。暑いし、蚊がくるし」
「順当だなあ。この場合“何かおごって”とか言うのがパターンなんじゃないの?」
「そんなの、食べ物でごまかされてるみたいで嫌よ。あんただって嫌でしょうに」
「いやいや。僕は君との仲を取り持つためなら、食べ物くらいはいくらでも」
「いいってば」
「じゃあ、君と僕の仲を縮めるために! さあ近所に美味しいパスタのお店があるんだ、さあさあさあ!」
「はん」
「鼻で笑われた僕の青春!?」
「……誰にでもそういう事を言っちゃダメ。だから親しい子ができないのよ、普通はいきなり口説かれても気持ち悪がるだけよ」
「せ、正論だ! 正論が来たよお姉ちゃん!」
「誰がお姉ちゃんか。……相手の身になって考えてみてよ。もっと性別以前に、身近な親しい関係を……」
「いや、僕は女の子が大好きなんだよ! そんな僕のどこが間違ってると!?」
「方法」
「ギャフン!」
「……というか、そんな手広くやらなくてもいいのに」
「え?」
「だいたいわたしがいるのに、どうして他の子に手を出すかなあ……」
「え、え?」
「ゼロ距離がいいのかっ! 本当の身体とぎゅーしたりちゅーしたりしたいのかっ! それとも婚姻届でも出したいのかっ!」
「げえっ! セレネちゃん!」
ジャーン! ジャーン!
CFキャラ案:過激な、というかドン引きされそうな表現含む
私は母を愛していた。
今でも愛している。
インタビューバトン(と書くのも気恥ずかしいけれど)
アルフェイルさんからいただきました。ありがとうございます。
1. 回してくれた人の作品(絵、文章など)の印象!
アルフェイルさんの文章については、『双隻眼のアトリ・イスカ』と東方SSシリーズを一通り拝読したのみですが、その範囲では拳銃のような文章を書かれる方だな、と思っています。
弾丸を含めたギミックを整えて、いったん撃発した後は曲進も後退もない。そんな印象があります。
2.創作をはじめたのはいつ頃ですか?きっかけらしいきっかけはありましたか?
確か小説を書き始めたのが、中学2年生の頃だったような。
きっかけは学校の先輩が開設していた小説サイトの影響だったでしょうか。
3.一番古い(若しくは思い出深い)創作作品について語って下さい。
『人体視願/ヴィイ』。
現在進行形で思い出を積み重ねている作品です。ヴィイの公開がなければ今の俺もありませんでした。
あと一番古い作品については全身全霊で黙秘します。
4.どんなときにネタが浮かびますか?
一番浮かびやすいのは映画館で映画を観ている時でしょうか。
印象的なシーンを目の当たりにするごとに、「これを俺の作風で書くならこうなる」というインスピレーションが浮かんできます。
5.どんなジャンルが得意ですか?
特に得意なものや不得意なものはないと思います。
というか、何が得意と言えるほど経験を積んでいないというか。
6.キャラクターに振り回されることはありますか?
特には。
あ、アイデアに振り回される事ならよくありました。
牽引もプロット段階ではあんな破綻した物語じゃなかったのに。
7.今あたためている作品(プロット)はいくつありますか?
何かない限り発表する予定のものなら、とりあえず3つあります。
猟奇親愛ゴースト『笑えない妹』、あるいは『銀のナイフと君の妹』。
異能+恋愛ゴースト『夜間帰宅部、ふたたび(仮題)』。
そしてSFボーイミーツガール小説『まだない。月のベルカ』。
8.書いている作品の中にこだわりってありますか?
広い意味での娯楽作を書く事です。
9.思いついたネタをどうやって書き留めますか?
作品と独立したメモを書き留める事はあまりしません。ネタも重要なものは忘れませんし、そうでないものはすぐ破棄する可能性が高いですし。
浮かんだ台詞や文章の表現は、直接使うために作品用のファイルに書き留めておきます。
もっともそれも、話の流れで破棄される事が多いですが。
10.書いている最中、音楽を聴きますか?
聞いたり聞かなかったりですが、総合的にはどちらかというと聞かない方が作業がはかどるみたいです。
11.書くのやめたい、と思ったことはないですか?
あります。
12.書けなくなったことはありますか?またそれはどんな感じですか?
死にたくなります。
13. 創作(絵・小説・世界など)する時に資料を探して集めて参考にしますか?
それなりに。
ただ、傾ける労力としては今まで集めた知識に矛盾しないように書くよう気をつける方が大きいですね。
まだまだ基礎知識を固める段階ですから。
14.ラストを当初の予定とはまったく変えてしまったこと、ありますか?
……牽引もプロット段階ではあんな破綻した物語じゃなかったのに。
15.大好きな創作家さん10人にバトンタッチ!(絵・文章の印象付きで)
さすがに10人はいないってば!
あ、皆さん全員に言える事ですが、気が向かなければ勿論スルーしてください。
白猫柚果さん。
たとえそれが自分と全く関係のない絵だったとしても、描いてくれてありがとうと言いたくなるような絵を描かれる方です。
サイト中に何年か前から感想を書きたいと思っている絵があるのですが、いまだに書けません。
お仕事など、お忙しいのは承知しております。えーと、1年後くらいに気が向いたら書いてみてください。
暁さん。
戦うボーイ&ガールをがりがり書く人。あとふたなり好き。
パルクル読んでます。
常に何かを作っている人なので、俺のライバルの一人です。
yagamiさん。
俺の三倍バカな事を書ける人。
書かれるものは短文が中心ですが、やる事は全くあなどれないので困ります。
むしろ崇めます。宇宙人最高。
おぞんさん。
常に丁寧に作品を構築される方です。
リーライナにはご本人の人柄が間接的に反映されている、という想像は失礼でしょうか?
この方もライバルというか、それに近い存在としてこちらから勝手に見ています。
らくだ屋さん。
なんかバトン内で創作の範囲が絵か文章に限られてないか?
と言うわけで、絵と文章と音楽とゴーストプログラムの全てを高密度でこなすこの方に是非。
感性的というより曖昧すぎる物言いですが、この方の作るものは大体が黒に近い紫色、というイメージカラーがあります。
ぐしゃろごす。さん。
この方とだけはネット上ですら一面識もありません。
とても格好の良い日記を書かれる方で、また女の子がひたすら走って走って最後に跳ぶだけの話がびっくりするほど面白かったので、無理を押して回答をお願いいたしました。
もちろん質問1の返答については、“さあ?”の一言で済まされても問題はありません。
追記:
らくだ屋さんへのリンクが間違っていた(移転していたのを気付かなかった)のを訂正しました。申し訳ないです。
シリーズ『神と馬鹿の日々』の第一弾。たぶん第一弾で終わる。
見ての通り会話以外を極力削った作品が下に。『彼女の時間』の別世界版というか。
作業の合間に無聊を慰めるような小品を提出してみましたが、誰かがこんなのを望んでたのかと問われると超困ります。
ヴィイへの切り替えなどを散見していますし、次のサイト上の更新はその辺に手をつけるべきでしょうか。
追記:
匿名さんよりヴィイの絵についてのタレコミをいただいてたり。靴を脱いでる辺りがえろかわいかったり。
ありがとうございました。他にも結構伺かの絵を描かれている方みたいですね。
連続掌編『月に愛された男』(1)
この街で最も空の広い丘。
僕は月夜の丘にて、〈代理人〉を通して彼女と会話をしていた。
〈代理人〉はいつもと同じように、短く切り揃えた髪を風になびかせている。
僕と彼女の〈代理人〉経由での会話も、もう何回目になるだろうか?
「……ねえ、いいでしょ? わたしも一度くらい、あなたと直接会ってみたいよ」
「それは……いや、僕だってそれはやまやまだけどさ」
「ほんとに?」
「ほ、ほんとほんと」
「なんだよう、その言い方。わたしと喋ったりするの、いや?」
「いや、もっと仲良くなりたいに決まってる。これでも僕には、君以外に女の子の友達なんていないんだ!」
「ほ、本音のお付き合いって気持ちいい!」
「正直な話、君とねんごろになれるなら僕はルパンダイブを習得してもいい」
「ふじこちゃん! いやその、その辺の話は恥ずかしいからまたの機会に」
「うん、実は僕もちょっと恥ずかしかった」
「でもまあ、それなら会うだけなら別に問題は――」
「いや……あのさ、言いにくいんだけど」
「ん?」
「君は、その……僕にとっては、ちょっと体重が重すぎるんだよ」
「え゛」
「――ひ、ひどっ!? なにそれひどっ!? ていうかねんごろって言ったのになにそれ!?」
「僕だって1キロや2キロじゃどうこう言わないよ!」
「そ、それならっ」
「でも人間の標準体重を、7.36かけるところの10の22乗キログラムほど上回るのはいくらなんでも酷すぎるだろ!?」
「わ、わたしにそこまで痩せろと!?」
「そうだ! もうちょっと分かりやすく言うと、7360京トンほどダイエットしてほしいんだ!」
「けい!? 常用単位で表現しきれないぽっちゃりさんがここに!?」
「……まあ、今すぐやせろとは言わないよ。代わりになる質量の確保とかも考えなくちゃいけないし」
「う、うー」
「でもまだ会えないのは、君にもわかるだろ?」
「う…………」
「今のままの君が、ここに来ると……その、地球とか、滅亡しちゃうし」
「………………」
「そうだよな、セレネちゃん?」
「……う、うわーん!」
〈代理人〉は今の彼女の感情に同期して、ひぐひぐとしゃくりあげている。
彼女は月だった。
夜空に浮かぶ直径3500キロ。質量はさっき言った通り。
こんな風に〈代理人〉を使って僕と会話をする彼女の正体を、いつ信じたかと言えば――
うん、そうだな。
最初に彼女を体重についての事でからかった5秒後、“観測史上最大の大潮”に呑み込まれたその時だろうか。