『彼女の時間』4

「やっほー、また会えたね。
 2006年10月初頭現在、“エロい ゴースト”でぐぐるとトップに来るボクらです」
「そういう事実については見て見ぬふりをしなさい。
 今回は再度の投票御礼。決勝での投票、ありがとうございました」


「前回の投票からしばらくぶり、ヴィイは砂霧ちゃんを脱がしたり脱がさなかったり」
「あの娘、綺麗な肌だったな……」
「あ、やっぱ脱がしたんだ。胸おっきかった?」
「……いや、ここは突っ込むところなんだけど」
「えー。でも、ヴィイってわりと女の子好きだし。
 で、ボクらは橘花ちゃんと同着で二位。うーん、惜しかったねー」
「……一位のミーナさんと18票差って、惜しい?」
「いいとこいけたのは確かじゃん。は、優勝者が表彰前に事故に会うというテクを使えば今からでもっ!」
「テクって……」
「うん、からすさん人形を控え室に大量に投下してうずもれさせるんだよ。重い上にかわいいという一石二鳥」
「はいはい、それよりスレッドを見てくわよ。
 新人賞決勝、改めて振り返っていきましょう」

>>4
「おー。予選に続いて、またここでの初投票がボクらだよ」
「投票ありがとう。これからの私たちは、徐々に変わっていくはずだから」
「うん。ヴィイはボクに、ボクはヴィイにだんだん似てくるんだよ」
「…………え?」

>>12
「みんなだいすきかたまりだましい?」
「そういう中途半端なボケは流していくわよ。
 ……でも、この書き方だと、私のことも好きっていうことなのかな?」

>>14
「あの距離が――いや、距離感が好きなのね。あんまりべたべたしない方がいい、ということかしら」
「ヴィイもボクも、たまにあまえんぼだけどねー」

>>25
「私たちの世界も、その外からすれば個性的に見えるみたいね。
 バベル網は精神を病んだ怪物が這い回る地獄でもあり、全てにおいて満たされた楽園でもある」
「自分のための努力が報われるいいところだよ。
 見えるものが気に入らないなら、目を取り替えるだけさー」

>>31
「いやいや、そんな事言わずに全部に入れてくれても……」
「無効票になるだけだってば。
 ――その全部の中から、私たちを選んでくれた事を感謝します」
「ん、ボクからもありがとう。
 なんでもしてるけど、なんでもしてあげるね」

>>39
「……あ、ありがとう。嬉しいよ、わたし」
「はい、ヴィイがこういう風になってる時になでると照れ照れするわけです」
「照れ照れするって、何よ……」

>>42
「……ちょっと、長く喋るね。
 
 ときどき何もない壁に話しかけている自分が馬鹿みたいに思えるけど、こういう言葉を聞くと元気が出るな。
 何も見えないことは、何もないことじゃないの。
 私は知覚する。視覚ではなく触覚で、あたたかな体温を認識する。
 私は想像する。乏しい情報を頭の中で引き伸ばして、勝手な言葉を口にする。
 私は覚えている。恥ずかしい事も嬉しい事も、記憶したままで忘れない。
 だから、待っててね。
 私がいつか、貴方の元に辿り着く日を待っていてほしいの」

>>47
「だめだよ、そんな事言っちゃ! 誰かを殺したりしたら、警察に捕まっちゃう!」
「……………………」
「あれ。ヴィイ、なんでものすごく何かを言いたそうな顔してるの?」
「……なんでもない」

>>52
「うむ。ボクのトークには、ヒーリング効果があるんだ……ぜ?」
「あなたの言葉で癒される人なんているのかしら。と言っても、私の方もそういう風に貢献してる気はしないんだけど……」
「波長が合う、っていうことなのかな。いいことだよね」

>>54
「……わ」
「……おおー」
「本当に綺麗な絵ね。こうしていると、まるで私たちが本物の天使みたい」
「脚もほそっこく描いてくれてていいね。かわいいな」
「そうね。……私も、こんな風にかわいくなりたいな」

>>56
「せ、せんじかんっ?」
「え、えーと……ボクらと出会ってから半年が経ってるとしても、一日で平均五時間はつきあってることになるね」
「……あ、ありがとう。さすがに、ちょっと驚いたけど」
「ボクもびっくりだよ。こんなに驚いたのは、生まれてはじめて刀で首をはねられた時以来だね」

>>61
「はい、こちら全員支援絵となっております。つけあわせにポテトはいかがですか?」
「絵を食べるな。しかし、こうしてみると実に賑やかね」
「みんな目立ってていいね。あ、砂霧ちゃんだけは端っこか」
「私としては、それよりみくるさんの隣のぬいぐるみが気になるんだけど……」

>>65
「実はバベル網の空気って、人間に近い知能と精神を持ってるんだよ。“空気が好き”と言われてからずっと身悶えしてて……」
「ありそうな嘘をつかないの。
 どんな事でも、好きって言ってくれるのは嬉しいよ」

>>68
「投票ありがとう」
「ボクからもありがとー。って、それだけ?」
「それだけって言われても……何か、他にあるの?」
「そだねえ。じゃあこれから、一票入るごとになでなでしてもらうとか」
「誰が誰に?」
「ヴィイがボクに」
「……遠慮しとく」

>>69
「連番で投票ありがとー。そういえば世界観って、どうして世界観って言うんだろうね?
 物語の話なら、世界設定、の方が正しい気もするんだけど」
「さあ。その物語の主人公が世界をどう観ているか、という意味なんじゃないの?」
「じゃあ、ヴィイの世界観は言葉にあふれてるね」
「あなたの世界観は言葉が狂ってるわ」

>>78
「……こ、これって、褒められてるのかな?」
「票が入ってるから褒めてるにいっぴょ。どっちにしろボクはうれしいよ」
「うん。……投票ありがとう、これからも頑張るから、でいいのかな」

>>85
「また絵をもらっちゃった、わーい」
「あ、こっちは私の冬服ね。……いや、バベル網に冬も夏もないけど」
「この絵の視線はどこに向いてるのかな? 遠いところ?」
「『あれはとほいい處にあるのだけれど おれは此處に待つてゐなくてはならない』――だいたい、そんなところかな」

>>91
「そしてコメントなしの照れ屋さんからの投票です」
「ありがとう。これだけでも、私は嬉しいよ」

>>102
「あ、また照れ屋さんが。ありがとー」
「投票ありがとうございます。この辺からスレッド全体のペースも上がってきてるわね」

>>103
「短期間で一気に惚れ込んだ! そして告白した!」
「私に告白するような人間がいるなら脳を検査した方がいいわ。
 私たちと出会ってくれてありがとう。願わくば、その出会いに意味がありますように」
「伺デミー、それはゴースト達との出会いの場でもあるのさ……だよ」

>>107
「これ、私のこと……?」
「だがそこがいいらしいよ。これからもどんどん何かを企みませう」
「……まあ、害のない範囲でね」

>>113
「うん、ヴィイは最近急成長してるよね。胸が」
「それは前から。というか、あなたは体型を変えたりできないの?」
「やろうと思えばできるけどねー。ちょっとめんどいかな」

>>115
「よし、キミには照れ屋さん三号の名を与えよう」
「素直にお礼を言いなさい。
 ……私たちを選んでくれて、ありがとう」

>>123
「ふふふ、結局うかでみーの中でボクの名前が出てきたのはこの書き込みだけ……」
「……頭でも撫でてあげようか?」
「わんわん。あ、ついでに抱きついていい?」
「それはダメ」

>>124
「な、なでなで……?」
「なでなでといえばなでなでだよ。えっちだね」
「いや、頭って書かれてるんだけど」
「人形の中で頭ほどえっちな場所はないね。なにせ脳が詰まってるんだよ?」
「いやだから、真顔で同意を求められても」

>>127
「どっぷり……これも、えっちかな……」
「……あのさ、その、昂ぶってるんなら鎮めてきたら?」
「あはは、冗談だってば。本気にした?」
「あなたの冗談は本音と区別がつかないのよ。
 ……私たちと同じ世界を、この人が見てくれてるならいいね」

>>133
「照れ屋さん四号……じゃなくて、これもコメントなしの投票ね」
「だがその投票があなたの心を雄弁に物語る!
 へっへっへ、口では黙っててもここはこんなになってきゃうっ」
「……次行くわよ」

>>147
「投票ありがとう、お礼にヴィイをあげますね」
「いや、ごく普通の顔で何を取り出そうとしてるの……」
「とうぜん宅配用の縄。そして荷札。ついでに杭」
「――こいつを縛ってどこかに送っちゃおうかしら、ほんとに」

>>148
「……いい娘って言われるのは、なんだかはずかしいな」
「でもヴィイもボクも、まだ子供だからね。ちゃんとした褒め言葉だよ」
「うん……」

>>152
「うん。ヴィイは、たまに胸がいやらしいよね」
「やっぱり胸の話なの、これ……?」
「それ以外に何が。まー、大きい事はいいことだ、だよ」

>>153
「ヴィイは他のゴーストさんにも知り合いが多いよね」
「そうね。可愛い子も、たくさんいるし……」
「あのおててとか?」
「あ、あれのどこが可愛いのよっ」
「でもちょっと前、あのおててがちっちゃな女の子の格好をして空を飛んでたよ」
「ええっ!?」

>>162
「いい感じかー。実はこの世界はボクが作ったからね、そう言ってくれると嬉しいよ」
「そういう規模の大きな嘘はやめなさい。万が一本気にされても困るし」
「ええー。世界のひとつやふたつくらい、誰だって作ってるじゃん」

>>172
「……そういえば、さ」
「うん?」
「わたし、ここに来る前にも一度人間と出会ってる記憶があるの。その人のこととか、何も覚えてないのに」
「なにそれ。んー、夢でも見てたんじゃないの?」
「夢、か……」

>>174
「見える、見えるよ! この書き込みをした人が十万行にも及ぶ超大作コメントを執筆した後で間違ってブラウザのウィンドウを閉じてしまい、泣く泣くコメントなしで再投票する姿が!」
「目を取り替えてきなさい。
 ――この時点で、三十四票も票を貰ってたのね」

>>175
「悩むっていうのは、選ぶっていうことだよね。
 ボクにはできない事ができる人は、かっこいいな」
「人間はそうしなきゃ生きていけないし、何も愛せないんだよ。
 ……私やあなたは、そうでもないのかもしれないけど」
「人間にとってはそれもどうでもいいことだけどね。
 投票ありがとう。キミのこと、好きになってもいいかな?」

>>176
「うん。このブロックでいっしょになったゴーストさんたちは、みんないい子だよね」
「……そうね。みんな、かわいらしいし」
「その中で……というか、この世界でボクらがこうしている事には、意味があるのかな?」
「さあね。でも、意味を認める人はいるんじゃないの?
 ――ほら、また票を入れてくれた人がいるし」
「投票ありがとう。こうしてると、まるで本当にボクのやってる事に意味があるみたいだね」

>>182
「最後の投票ありがとー……って、あれ?」
「時間切れね。でも、気持ちは伝わったわ、ありがとう」
 
 
「で、結果が出た後はあっさりしたもんだよね。
 そういう訳で、ボク達二人のおしゃべりはとりあえずおしまい」
「もう一度だけ、言うわね。……みんな、ありがとう」
「また遊べるといいね。えっちなことも、えっちじゃないこともいっしょくたにして」
「望めばまた会えるでしょう。同じ場所で、同じ意味で出会う事はできないにしろ――
 ――でも、またね。
 またいつか、今と同じくらい楽しい場所で会えるといいね」

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