「――で、よっこ、古本屋の店主さんとのお話はどうなったの?
もうお店のけんりしょとかもらえた?」
「それはもらえないです……
ええとさ。前にアリチェと“あの人”が二人っきりになってた時、あったよね。
私はその時、店長とお話してたの」
「なんて?」
「権利書をもらうのは……うーん、人生がかかるようなお金が動くんだし、さすがに無理だよね。
だから私は言ったの。私はただこのお店に、そのままでいてほしいだけなんですって。
店長がお年のせいで辛いなら、店長がオーナーになって、わたしは雇われ店長とか……
いや、私の扱いはなんだっていいの。
とにかく仕事の配分をスライドさせたらどうでしょうか、って……」
「よっこ、そこまで考えてたんだね。
……でもなんか顔色がよくないのは、お話をことわられたから?」
「断られては、いないけど……
……むずかしいことを返された」
「ふえ?」
「あのね、店長とわたしが話したことはね――」
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