話をまとめきれない。まとめないままだらだら続かせる力もない。
あとイエズス会は男子修道会だ。
「お久しぶり、あるいははじめまして」
「むにゃむにゃ」
「この媒体で喋るのも久しぶりね……ほら、起きて」
「んあー、あと主観時間で五分ー」
「いいから、挨拶しなさい」
「えーと……ここにクリスマスイベントはありません。かえれ?」
「そ、それ違うっ」
「でもまあ、実際ないもんはしょうがないよね」
「それは、まあ……」
「人間はどうか知らないけど、ボクらにとってはクリスマスってなに? みたいなもんだし」
「……そうね、もともとバベル網には祭りの概念自体が薄いの」
「使ってる暦はだいたいみんな同じなのにね」
「クリスマスも、知識としては知ってる科も多いけど。実行率になると、よくて日本で言うハロウィン……」
「悪くて夏至のお祭りくらいのもんだね。いえーい、太陽信仰ー」
「クリスマスってもともと冬至のお祭りじゃなかったっけ?」
「でも、“この”バベル網には冬至も季節もないよねえ」
「……あなた、他のバベル網に行った事があるの?」
「あ。でもさ、ボクらの網にもクリスマスをお祝いする科はちゃんといるよね」
「――いるわね。クリスチャンの科が、教会で準備をしはじめてるみたい」
「うん。今回のために、ちゃんと一科連れてきたよ」
「えっ?」
「は、はじめまして」
「…………誰?」
「こちらの女の子は、珪素イエズス会の初瀬(はせ)さん」
「はい、初瀬です。よろしくお願いします」
「……私の名前はヴィイ、ね。よろしく。
でも、珪素って?」
「珪素イエズス会は珪素生物をはじめとした、あらゆる生き物のための教会です」
「サンタは死んだ! おれが殺した!」
「落ち着きなさい」
「サンタさんは死んだりなんかしません!」
「だから落ち着けっ!」
「愛に時間をー。」
「で、どうするの?」
「いつも通りだよ。何も変えることなんてない」
「ふうん……」