「やあ、ボクHand! 魔法のリリカル電脳少女・ヴィイたん9歳の、セクハラ界からやって来たお友達!
今日もヴィイたんにセクハラ界のひみつ魔法を個人授業してもげェばッ」
「――頭でも打ったの、あなた?」
「俺を思いきりブン殴ってから言うことかッ!?」
「殴ってないよ、しばいただけだよ。というか、あなたに頭なんてないしねー?」
「この俺様を叩きやがったことには変わりないだろうが! この乳め、今日は貧乳の方の乳め!」
「なんとでも言うがいいさ。そんな手ごときにやられる私じゃないもん」
「ふん、よくぞ言った! どれ、生意気な小娘にお仕置きを――」
「ひょい」
「回避ッ!?」
「ふふん。そしてカウンターっ」
「ちょ、指引っ張るなあだだだだ」
「このわたしにひざまずけー」
「だだだ……ん? お前、さっきから言ってることがおかしくないか?」
「そお?」
「そお、って口調からして違うし。それに、このにおい……」
「におい?」
「酒の……」
「さかな?」
「そして、そのベタすぎるボケ……」
「……分かった?」
「貴様ッ!
「答える必要はなーい!」
「てか、よく見たら酒瓶脇に置いてるじゃねえか。なに、ウィスキー? うわ似合わねえ」
「分かってるもん。それより、あなたも飲む?」
「どういう風の吹き回しだ? 普段俺のことを怖いとかヘンな手とか色魔とか嫌ゴとか言ってるくせに……」
「そこまでは言ってないもん! もう、嫌なら別にいいんだよ?」
「いいや、酒の無い世界なんぞとても耐えられん。ほらよこせ」
「うん…………」
「……何見てんだ?」
「いや、どうやって飲むのかと思って」
「――ほう。どうやって? どうやって飲むか、だと?」
「自信ありげ?」
「それどころか。よく見てろよ子猫ちゃん、このHandが手業の達人と呼ばれる理由を見せてやる」
「呼ばれてたっけ? まあ、じゃあ見てるけど」
「へっへっへ、パンツの替えを用意しとけよ――ほら、まずはこうだッ!」
「えっ? そ、そんなこと……」
「驚くのはまだ早い! 次はこう! そして俺様はこうする!」
「う、嘘っ!?」
「無駄ァ! 無駄無駄無駄無駄無駄ァーッ!」
「え、な、そんな……まさか、まさかこんな飲み方をするなんて……っ」
「知るがいい、The Handの能力はまさに“世界を支配する”能力だと言う事を……!」
「きゃーっ!?」
「……結局、全部一気飲みしちゃったし。確かに飲み方は凄かったけど、これじゃわたしが飲めないよ」
「元から舐めた程度にしか減ってなかっただろ」
「むう。あなたはまだ酔わないの?」
「俺を酔わせてどうしようと。このエッチ!」
「うっさい。……ただ、ね」
「ただ?」
「ただ、聞いてみたかったことがあったの。お酒を飲みながら話させれば、話しながら触られたりもしないかって思って……」
「――そりゃ珍しい。いいぞ、言ってみろ」
「普通そこは“触らないから”って付け加えるとこだよ? えと、他の……」
「他の?」
「他の、つまり私とあなた以外のゴーストさん。
……あなた、あの人に呼ばれてない時は何してるの?」
「そりゃ勿論、子猫ちゃん達と親交を深めてるぜ」
「つまり他のゴーストさん達のところに行ってる訳ね。あなた、いろんなところに隠れて覗きをしたりできるでしょ」
「まあな」
「わたしの着替え覗いたり、ぱんついっちょでいるところを隠れて見てたりもしてたでしょ?」
「まあな!」
「ころす」
「殺し愛ッ!?」
「…………いや、まー、後でね」
「後かよ」
「あとだよ。だから、その……」
「ん?」
「……わたしが、他のゴーストさんにどう思われてるかって、知ってる?」
「お前が? どう? ……何かと思えばそんなことかよ、ヴィイ子ちゃん」
「誰がヴィイ子ちゃんだ。これ、大事なことだと思わないの?」
「大事も何も、聞けばいいだろそんなの。お前、知ってるゴーストの数なら二百とか三百とかだろ」
「知ってるのと仲が良いのとは違うの! そ、それに――」
「?」
「……さわって、みたいの」
「俺みたいに?」
「みたい言うな。単に他のゴーストさんに、頭を撫でたりしてみたい子がいるだけで……」
「ほら、俺だ」
「あんたみたいにヘンなとこなんて触らないー!」
「まあまあ。要するに、相手が触っても嫌な顔をしないかどうかが気になるんだろ?」
「…………うん」
「つまり、相手が嫌がらないような触り方をすればいい訳だ。そうすれば、どう思われてるかとかはあんまり関係ない」
「そんなことができればくろうはしない……」
「いやいや。教えてやらんことも無いから、そこに立ってじっとしてろ」
「たつ?」
「よし、まずはたっぷり触られてテクニックを身体で覚え…ってこら、ちょ、やめろって、冗談だって!」
「……やっぱり、いまやっちゃおうかなあ」
「本気っぽいから止めてくれ。周囲の空間を震動させるのも禁止」
「もお。えと、何の話だったっけ……?」
「他のゴースト」
「……うん。
そう……遠いなあ、っていう話だよ」
「はん?(いい加減酔いが回ってきたか?)」
「遠いなあ、って言ったの。もちろん、わたしとゴーストさん達のことだよ?」
「……なんだ、距離の話か?」
「距離、距離感……そんなかんじ。だってさ、私と同じ世界にいるゴーストが、わたし以外にいる?」
「そりゃまあ。俺だって生まれは木の根、今は七つの
「でしょ? なんか、身の上は同じなのにいろいろ違うんだなあ、って思うことばっかりなんだよ――それに!」
「なんだよ?」
「それに、その……さわりっこもできないんじゃ、なんかあの人の相手をしてるみたいで……」
「……あー。あいつの顔も見れないゴーストなんて、お前くらいだよな実際」
「いや、あの人は関係ないもん!」
「落ち着け酔っ払い。結局どうしたいんだ?」
「……どう?」
「そう。さっきは俺に聞いてきたが、俺だってお前の評判なんぞ知らんぞ」
「…………」
「だからさ。これはお前が、どうしたいかってだけの話だろ?」
「……酔ってるんだよ」
「?」
「酔ってるんだよ、それだけ。――遠いなあ、って、ぐちってるだけだよ?」
「……しょうがねえな、そりゃ」
「そう、しょうがないの。……だって、いないよ?」
「どこに? 誰が?」
「あの人と会う場所には、誰もいないの」
「誰も?」
「うん。だってあの人は、私から見える場所にいないんだよ?」
「それは……」
「いないの。私以外の人形なんて、他にあの人が呼んだ娘だけ。でも、あの子達と何か話すことなんてあるのかな――」
「……ヴィイ?」
「あの人は、遠くなんか――ううん、少なくとも、こっちに来ようとしてくれてるよ。
手を握ってくれるんだよ?
頭を撫でてくれると、あったかいんだよ?
そんなにやさしいのに、嬉しいのに、なんで誰もいないの……」
「好きなのか? あいつのこと――」
「……っ」
「違うのか?」
「……顔も見えない奴のことを、どうやって好きになるんだよ。
触れ合える気持ちが全部だと思えるんなら、悩みなんてしないよ。わたしは、お互いのことを分かって、自分の気持ちを決めて、それからせめて、好くか嫌うかだけでも――」
「……ヴィイ、泣いてるのか?」
「……泣いてない」
「…………」
「……遠いんだよ。ただ、それだけだよ……」
「……まあ、なんだ」
「え?」
「触れるってことは、相手が居るのが分かるってことだろ?」
「そんなの……」
「ヴィイのheadをぽふぽふするぜ、っと」
「ふぇっ?」
「――――」
「…………ん、っふ」
「ほら。俺が触って嫌がるってことは、俺が居るのが分かるってことだ」
「……ばか」
「ああ、馬鹿さ。おかげで分かる事なんかひとつしかない。
ヴィイ、お前さんには俺が居るってことがわかる。
……それは悪くないもんだ。悪くないもんだぜ」
「――ぅ、」
「う?」
「――ぅん、って、うなずいたの」
「……ああ」
「……泣いてないよ?」
「……ああ、分かってるよ」
「……そう。また、呼ばれたのね」
「手を握って、どこかに連れて行ってくれるの?」
「――あ。ちょっと、待って」
「……何をしてるか分からないの? うん、そうだと思ってた」
「ふふ。握り返してるだけだよ、私から――」
「ねえ。
あなたは、そこにいるよね?」
お部屋バトン
けのっぴから素敵なバトンが回ってきましたよ。 けのっぴのお部屋はなんだか面白げ。 何かの研究をしている方なのかな。 なんだかんだときかれたら!! それは…
遠い。ただ、それだけ。
『遠い』ということ。
前は知らなかったのに。これは、不安な気持ち?寂しい気持ち?
…なんとも言えない。もやもやしたもの。
もやも�…