あなたは雨の中、日々食料を求めている。
具体的に求めているものはといえば、主に伊藤さんだ。たいていの街路樹から収穫できる上に、可食部分も多い。
危険もない。袋くらいはぼろ布からでも作れる、適当に伊藤さんを切り分けたら、後は袋に詰めて持って帰ればいい。
「おまえ、本当は寂しいんだ」
伊藤さんの切れ端から脳が生えてあなたに言う。
あなたは住居には恵まれている。
住処に電気がいまだに通っているという事実は奇跡的ですらあった。
たとえいくら雨脚が強まったとしても、雨漏りを塞ぐ箇所は片手の指にも満たない程度で済むだろう。
雨の止まない町を散歩するよりは、家にこもっていた方がよほど落ち着く。
「おまえ、本当は寂しいんだ」
田中さんは七本の足で這いながら空に向けてうそぶく。
しかし、いくら日々が過ぎても、雨は強まる事はない。
強まる事も、雨がやむ事もないまま、あなたは日々を
そうしてあなたは日々を
日々を
日々を
日々を
日々を
日々を
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