小説のよすが・第五話『混沌の中に歩いていく』

 ――悲しくて、さびしい夢を見ていた。
 そして今でも、その夢から抜けられた気がしない。




「あ……あれ? なんで私、こんなところに……」

 寝床で目が覚めた時にも、よすがの心は眠ったままだった。

「ここは……どこ?」

 ここは、彼女自身の家だ。
 当たり前の知識に実感が伴わず、呆けたようによすがは呟く。

「こんなところにいる場合じゃ、ない……のに。どうして、いや、どうやって……?」

 ――ぼんやりとした焦りに、しかし中身が伴わない。
 昨日の夕方から、自分が何をしていたかの記憶が一切ない。
 外着のコートを着ていたことから、外出していたのだろうという推測はできる。
 けれど、自分がどうやって家に帰ってきたのかすら思い出せない。
 変身は解けていた。おそらく解けたのは家に帰ってきた後だろう、という感覚と、昨日の晩から何も食べていないという空腹感が同時にやってくる。
 着替えもせずにベッドに倒れていたのか、起き上がるとコートにしわが寄っていた。
 服をつまむ指先の感覚が怪しい。自分の視界が映画かなにかのように現実味がない。

「…………アリチェ」

 何もかもがうつろな中で、その名前を呟く。
 ――あの喫茶店に行こう。
 コーヒーで目を覚まそう。もしかしたら、アリチェもそこにいるかもしれない。
 ぼうっとしたままの頭でそう考えて、よすがは肌身に染みついた変身の詠唱を開始した。

「……で、よすが、一体どうしたの?」
「え。いや……私、どこかヘンだった?」
「いやいやいや! コートはよれよれだし、寝ぐせひどいし、というか窓じゃなくてわたしを見て話してよ!?」

 喫茶店では、待ち合わせていたかのようにアリチェがミルクティーを飲んでいた。
 同じ席につき、よすががコーヒーを注文した後、カップに口をつける暇もないうちにアリチェがまくしたててくる。

「ごめん。私、昨日なにかあったみたいで……」
「なにかってなーに、夢遊病? んー、キツめの目覚ましいっとくかしら?」
「……タバスコ!? いや、コーヒーには入れないから!」
「そうかなー、案外いける味かもだよ?」
「だーめー!」

 そのやりとりで、ようやく普段の自分に立ち戻っていく。
 ――アリチェは、ふつうだった。
 楽しそうな軽口と笑顔。そのどちらもが、よすがを安心させてくれる。

「えっと……アリチェ、聞いても、いい?」

 それでも、よすがに昨日の記憶がないという事実は消えなかった。

「なーに? よすがが昨日何してたかなんて、聞かれてもこまるよ?」
「そ、そう? でもなんだか、昨日はアリチェと話したような気が……」
「会ったは会ったけどー、昨日のよすがはよっぱらったみたいな感じだったもん」
「よ、よっぱら……?」
「うん。わたしの前でとつぜん床に膝ついたりー」
「え、ええっ。わたし、そんなことまで……?」
「むしろひざまづく? そんでわたしになら殺されてもいい! ってあいのこくはくをしたり」
「それはウソでしょ!? ぜったいウソでしょ!?」
「うん、ウソ」

 アリチェはそう言ってにっこり笑う。

「もう、アリチェったら……」
「んー。でもあれはそういうのじゃなかったと思うけど……ずいぶん必死だった。
 なんかすんごく、よすがは必死そうだったね」
「私が、アリチェに……?」

 ――何をそんなに、必死にまくしたてていたのだろう。
 そんな疑問が消えないが、それより今のよすがには他のことが気になってしまう。

「……それで、アリチェはどうしたの?」
「いやまあ。なんかよすがはふつーじゃなかったし、ふらふらしてたし、支えて家まで送っていってあげたよ」
「そう、だったんだ……」

 ――ほんとに、なんにも覚えてないんだね。
 そう、アリチェが小さくつぶやいた。
 なにかを確認するかのように、アリチェが自分の身体のあちこちを見ていたことによすがは気付く。
 体調を気遣っているのだろうか――そう思うと、申し訳ない気持ちになった。

「つまり……私がお酒に酔って、なにやらまくしたてて、それをアリチェが介抱して家まで送っていってくれったってこと?」
「うん、だいたいそんな感じ」
「それは……」

 それならアリチェに謝らなきゃ、とよすがは思う。
 でもなんだか不自然な点が多すぎる、とも思う。
 結局、そのどちらも口に出せずに、どちらでもない思いが口をついた。

「……アリチェは、良い子だね」
「んー?」

 笑顔のまま眉を下げるアリチェに、よすがもまたほほえんだ。
 何だか、昨日のことなどどうでもよくて――それよりも、今アリチェと、こうして笑っていられることが嬉しかった。

「――じゃあ、もしわたしが悪い子だったら、よすがはどうする?」
「え?」
「どうするのー、おこる? フォークでつつくとか?」

 アリチェはティーカップの上でフォークを揺らしてみせる。

「もう、やめなよアリチェ……」
「たら、のはなし。
 私が悪いコトしちゃったら、きっと止めてくれるのは、よすがくらいだよ」

 ――おかしい。
 アリチェはいつもの笑顔で、いつもの口調で話している。
 それなのに、よすがの胸は苦しいほどにざわめいている。

「アリチェ、そんな……私、止めるなんて無理だよ。
 だって私、昨日も……」
「……きのうって、なに?」

 覗き込むアリチェの瞳に、自分自身が映る。
 そしてよすがは、ようやく目が覚め――

「――そうだよ! 
 昨日、私はアリチェから聞いてたの、ほんとうのアリチェのこと!」
「……ああ」
「どうして忘れてたの、どうして――でも、それより!
 ねえアリチェ、私、あの時のこと、もっとちゃんと話したくて――」
「これくらいで解けるようなら、まだ催眠が甘すぎたね」
「え?」


「――もう、いいんだよ」


* * *

■■■■■アリチェを傷つけることなんて、ましてや殺すなんて、絶対にできない。
     その時の私は、そう思っていた。■■■■■

* * *

 そして、よすがの心は眠りの中から出てこられなくなった。
 アルバイトをこなして、空き時間にアリチェと喋って、家で家事を済ませた後は読書か魔術の練習をするか――
 そんな生活のサイクルは変わらない。
 けれどその全てが、どこか現実感のないお芝居のような気がしてくる。
 アリチェ以外の誰かとも、いつかどこかで仲良くなれた記憶があるのに、それが誰だか、本当にそんな“誰か”がいるのかもわからない。

 ――何日かに一回、夢の中で目を覚ますことがある。
 ふしぎに現実感のある夢。いつもアリチェと一緒にいる。たいていよすがは泣いていて、アリチェも泣きそうな顔でわらっている。
 けれど、そんな“夢”を見ることも、次第になくなっていった。

 アリチェと話すときはいつも、おとぎ話のような嘘のはなしで間をつなぐ。
 アリチェはときどき、一人遊びの最中みたいに寂しそうな顔をして、そんな時によすがは一層はしゃいで嘘をつく。

 アリチェと一緒にいる“夢”を見なくなったころ――
 まるでそれと入れ替わるみたいに、よすがは新しい出会いを迎えた。

 アリチェがよくない男に絡まれているときに、たまたま視界に入った人。
 よすがはその人をネタにアリチェに絡んだ男を言いくるめて追い払う。
 それからアリチェの提案で、三人で喫茶店に行って――

 ――三人でいる時も、アリチェと二人でいる時も、話の内容はさして変わらなかった。
 ただ“あの人”とは距離感を測りづらくて、話している最中も退屈させていないかどうかが気になってしまう。
 それでも“あの人”が興味深そうにするしぐさの、ひとつひとつがよすがの心を惹きつけた。

 いつしかよすがは気付く。
“あの人”といっしょにいる時だけは、自分の心が現実を受け止めていられることに。

 喫茶店で話をするだけでなく、雑貨屋でウィンドウショッピングを楽しんだり、どこの店に入るでもなく大通りをぶらついたり――
“あの人”と別れた時に、街が急に彩りを失うと、いつしかそうすっかり信じ込んでいた。

 二人きりで歩いている時に、子供の頃なくしたぬいぐるみの話をした。
 本当に大事にしていたぬいぐるみなのに、旅行先で落としてしまった――
 そんな話をしていたら、“あの人”は雑貨屋に飾られていたぬいぐるみをプレゼントしてくれた。
 その時よすがは心底から驚いた。
 それは、嬉しかったからだ。

 ……ぬいぐるみをなくしてしまったのも、古本屋で「本物の」魔術書を手に入れたのも、小学校の年長の時だった。
 その時の自分は、本当におかしな女の子だったと、よすがは家路を辿りながら思い出す。
 沢山の本を読んでいる自分の賢さを自慢していたのに、小さなぬいぐるみをいつもランドセルの中に入れていないと落ち着かない、そんな幼さのある子供だった。
 誰に対しても偉そうで、けれどその時のよすがには、楽しいことには心から笑える素直さがあった。
 旅行の行き先はバーベキューができるコテージだ。何もかもが生まれて初めてで、炭にバーナーで火をつける父親の手さばきが、魔法のようにきらめいて見えた。
 けれどその時に、火に憧れてしまったのがよくなかったのかもしれない。
 バーナーに飛びつこうとするよすがを、母は本気で叱りつけた。
 何を言われたか、そしてどんな言い合いになったか、今のよすがはあまり覚えていない。
 火は危ないものだ、ということを心から理解できたのは、中学生のころ炎の魔術で自分の部屋に火をつけてしまったときのことだ。
 ただ、自分が家族の楽しみを台無しにしてしまったと理解した気持ちはよく覚えている。
 よすがはぬいぐるみを取り出して走り出した。絵本の魔女が魔法の杖をちょんと持つみたいに、左手で危うくぬいぐるみの手を掴んで。
 コテージに隣接したバーベキュー会場から近くの河原に行って、それから――何をどう走ったのか、もう全く思い出せない。
 ただ、なんとか迷子にならずにコテージに戻ってこられたことは覚えている。
 その時には、ぬいぐるみをなくしていたことも。
 
 ――その時のことは、何もかも自分が悪い。
 子供でいたくないなら、認めるのは必要なことだったと、今のよすがもそう思う。
 ただその時、客観的な事実とは別に、よすがはある感情を知った。
 それは自己嫌悪。
 自分が嫌いだということ。
 その感情は、それからもずっとよすがの背後に寄り添い続ける。

 容姿の呪いを受けた時は心の平衡を崩すほどに驚き、嘆いた。
 けれどそれは、ある種の必然だったのかもしれない。
 その時のよすがは、自分の容姿を美化する魔術の儀式を試みていた。
 もう少しだけ髪に艶があって、もう少しだけ顔が小さく、もう少しだけ笑顔が素敵な、そんな夢見る自分。
 ――あるべき自分を引き寄せる。
 そのつもりで行った儀式は、やはり成功だったのかもしれない。
〈混沌〉はあっさりと、そして不可逆によすがの身体の基底を変えていった。
 全てはただの現実として定着した。灰色に変色した肌も、落ち窪んだ眼窩も、その総身が自分だった。
 これが自分にとっての「あるべき自分」だったのだと、今のよすがは諦めている。
 その諦めから、いつか逃げ出したいと、そう願いながらも。

 家に帰って、ラッピングの中からぬいぐるみを取り出す。
 幼いころの“魔法”をもたらしてくれたぬいぐるみよりも、それは随分と大きかった。
 自然とぬいぐるみに手が触れる。最初はおそるおそる人差し指で、そして右腕全体で抱きしめるように。
 ――うれしい、という気持ちに、何の自己嫌悪も伴わないことに、よすがは驚く。
 何にはばかるでもなく、何の但し書きもつかない無垢なうれしさ。
 ぬいぐるみをなくした時に薄れて、容姿の呪いを受けて消えてしまったもの。
 ずっと失われていた純粋さが、よすがの心に一瞬だけ触れていった。

 その夜よすがは、ぬいぐるみを抱きしめて泣いた。
 変身を解いた素肌だった。ぼろぼろの肌にぬいぐるみのキルトがあたる感触が後ろめたくて、そして心地よかった。
 その涙が幸せというものだと気付くまでに、数日の時間がかかった。
 そしてよすがは理解した。
“あの人”から贈られたものだからこそ、これほどまでに嬉しいのだと。
 その幸せには、恋という名前がついている。

* * *

■■■■■この幸せをなんとしても守りたいと、私はそう思った。
     “あの人”とアリチェが笑っていられる日常がある限り、私はわたしでいられると、そう思っていた。
     そしてそれも間違いだ。■■■■■


“あの人”とよすがの間に、友達以上のことは何も起きなかった。
 それでも会っては別れを繰り返すうちに、時間の流れは過ぎていく。
 三人で遊園地に行った時はとても楽しかった。
 お化け屋敷で吸血鬼のハリボテに本気で怯えるアリチェに、よすがも慌てて世話を焼いた。
 けれど、なぜかその時は何かが心に引っかかって、純粋な気分にはなれなかった。
 何か、忘れてはいけないものを、忘れているような気がして――

■■■■■その時の記憶は、ずいぶん途切れ途切れになっていた。
     このノートのことすら、その時の私は忘れていたのだから。■■■■■

 ある日アリチェから驚くべきことを聞いた。
 自分は人間ではなく吸血鬼だと、彼女は言う。
 けれどそれを聞いても、よすがの心にはさして驚きは浮かばなかった。
 アリチェの体質がどこか普通でないことは分かっていたし、彼女の友達でいるためには、そんなことで驚いてはいられない気がしたから。

 それよりも、心を乱すことは他にあった。

「この前“あの人”にプレゼントしてもらったぬいぐるみを、わたしにも見せてほしいの」

 なんのこともないアリチェの願い。
 それが、よすがには受け入れがたかった。

 何も装わない自分の腕で、何度も抱きしめたぬいぐるみを、アリチェと“あの人”に見られる――
 それがどうしても嫌だった。
 
 どうしようもなく汚してしまって、何度拭き清めても汚れが落ちない気がした。
 ぬいぐるみを抱きしめても、あの時の純粋な嬉しさは戻ってこなかった。ただ、何か大事なものを汚してしまった罪悪感が積み重なった。
 

 だからよすがは、ごまかすための嘘をつくことにした。
 雑貨屋で“あの人”にプレゼントしてもらったぬいぐるみと同じものを探してみたけれど、棚に並んでいるぬいぐるみはどれも胸を飾るリボンの色が微妙に違う。
 ……ああ、この子たちはみんな、それぞれ違う個性を込められてるんだな。
 それを理解すると後ろめたさが増した。けれど、それ以上に汚れた――汚れたように思えて仕方ないぬいぐるみを見せるのが怖かった。
 雑貨屋でのやりとりの時にアリチェも元のぬいぐるみを見ている。けれどそれはせいぜい数秒ほどだ。
 リボンの色なんて覚えてるわけがない。だからこれでだいじょうぶだと、よすがはそう信じていた。
 
 
■■■■■今から考えれば、この時の私の振る舞いは臆病すぎて滑稽なくらいだった。
     私は、どうしてあれほどアリチェに対して正直になることを嫌がっていたのだろう。
     ……それはきっと、あの時すでに、彼女との関係が崖の縁にあると理解していたからだ。
     もう少しでもこの関係を揺らがせられない。
     動けない。動かしたら終わってしまう。■■■■■

 雑貨屋の棚で迷っている時間は長かったけれど、新しいぬいぐるみを買ってからアリチェに見せる決心がつくのはすぐだった。
“あの人”とアリチェと三人でいるときに、よすがはぬいぐるみを取り出す。
“あの人”の視線からは陰になる場所。アリチェの目だけを受けて、よすがは数秒の沈黙を耐える。
 アリチェはぬいぐるみをかわいい、と喜んで、けれどすぐに不審げな顔をして――

「これ、おかしいよ。
 リボンの色、前のと違う」

 息が詰まる。
 アリチェの言葉は止まらない。

「よすが。これ、違うよね。
 あの時にもらったぬいぐるみは、どうしたの?」

「どうしてこんな――こんな偽物を、私たちの前に出したのさ」

「おかしいよ、やっぱりよすがおかしいよ。
 ねえ、大切にするつもりだったんじゃなかったの?」

 その時のアリチェは、よすがが見たこともないような顔をしていた。
 疑いと怒りが入り交じったアリチェの表情と、“あの人”の言葉に出来ないような視線が、等分に突き刺さる。
“あの人”に買ってもらったぬいぐるみを落としてなくしてしまった、というしどろもどろの嘘をついて、その場は見逃してもらった。

 けれどそれは、本当に一時のごまかしでしかなかった。
 ……ある日、通りすがりの男が、アリチェにおかしなことを言った。
 アリチェが病院の霊安室に忍び込んでいる、と。
 彼女が死体の血を吸っている、とまくしたてる男は、随分と興奮しているようだった。
 ああ、たしかこのひとは、前にもアリチェに絡んでいた――
 そう思い出しつつも、何事にも萎縮しきった今のよすがには、割って入ることができない。

■■■■■それに、その時は話に入れない理由があった。
     だって、霊安室に忍び込んでいるのは、私の方だったから。
     死者の身体にキスすることで、死臭を魔術に必要な〈混沌〉に変換する術。
     死者から霊気を吸うのは魔術の初歩だ。変身の魔術を維持し続けるには、それが必要だった。
     けれどそれは、私がアリチェのことより、自分の都合を優先した瞬間に違いなかった。■■■■■
 
 ……いつの間にか、アリチェの冷たい怒気を孕んだ声が聞こえる。
 男はそれに勢いを挫かれ、アリチェに追い払われるように簡単に退散してしまう。
 それで、目先の問題はなくなった――というのに、かえって怯えがよすがを支配し始める。
 アリチェが不審な顔をしても、何を取り繕うこともできない。
 怯えと嫌悪が脳を巡る。
 霊安室に誰かが忍び込んだ、という話がなくなったわけじゃない。
 誰かに自分の正体を知られてしまうまであと一歩でしかない。そして誰かというのは、最も知られてはいけない、アリチェと“あの人”だ。
 もうどうやって逃げだすか、どうやってごまかすか、そんなことしか考えられない。
 自己嫌悪が毛穴から吹き出して、そのせいで変身が解けるのではないかと本気で思う。

 かえる。――帰るから、と、よすがの言葉が勝手に口を紡ぐ。
 
「ちょっと、よすが――」
 
 アリチェがよすがの腕に手を伸ばす。
 けれどそれが何より厭だった。
 魔術で演じる皮の下には、ずっと汚れた肉が詰まっている。
 自分の中の腐った気持ちに触れてくるのは、それがアリチェであるからこそ――
 
「――触らないでっ!」

■■■■■それで、終わった。■■■■■

「っ――!?」

 アリチェが驚きに硬直する時間は、数秒に過ぎない。

「……いま。
“さわらないで”って言った?」

 しばらくの驚愕の後、冷たく沈んだアリチェの声がそう尋ねる。
 それによすががどう答えるかなんて、まるで意味を成さなかった。


 ……それから、アリチェとよすがの関係はまるで別のものになった。
 アリチェの言葉には、よすがを傷つけるようなものが忍び込みはじめた。
「よっこは、自分を汚いと思ってるの?
 ……よすがは、汚い体の人間なの?」
 時に笑いながら、時に完全な無表情で。
 冗談で弄っているというものではない、冷たい皮肉が入り交じる。
 そんな言葉の直後には、決まって笑顔の、“いつものアリチェ”が戻ってくる。
 けれど言われたことはきっちりと悲しくて、律儀なくらいに嫌悪を刺激して、そして悲しみも嫌悪もアリチェに見透かされている気がしてならない。
 まるでよすがの心に針を突き立てる使命ができたみたいな振る舞いだった。

 よすがは必死に取り繕って、笑顔でアリチェと“あの人”に接することだけに専念する。
 まるでそうしていれば、この二人と友達になったばかりのころの関係が戻ってくるかのように。
 けれどそれは、よすが自身すら騙せないごまかしだった。
 
 怖い。
 何が怖いって終わってしまうのが怖い。
 終わってしまったら、きっと簡単に見捨てられてしまう。
 その後二人に見捨てられた自分がどうやって自分でいられるのかがわからない。
 怖い。
 一人が怖い。 
 でも何が終わってしまうのかってそれは三人で無邪気に笑っていられる関係で、そんなのはとっくに終わっていて――

 ――ばらそう。
 思考が回転を続けるうちに、よすがは決意する。
 “あの人”に、自分の正体を打ち明けようと。

* * *

■■■■■■臆病な私にできた、それが最後の賭けだった。
     アリチェという「怖いもの」から逃げるために、“あの人”に向かって突進していく。
     自分の正体を知った“あの人”に拒絶されるという可能性を承知した上で、私はそれを選択した。
     その先には何の展望もない。頭はとっくに焼けていた。
     けれども、希望はあった。
     私がずっと、怖いものから逃げていたのは――逃げた先にはまだマシな何かがあると、かりそめにでも信じられたからだ。■■■■■■

* * *

 決意したことを実行するまでには、何の障害もなかった。
“あの人”と二人きりになって自分の家に招く。
 待たせている間に変身を解く。本当の姿を見せる。
 自分の容姿の呪いについて、かいつまんで解説する――
 緊張はなかった。まともに緊張するほどの思考ができていたのなら、到底二人きりになんてなれなかったから。
 身に過ぎた大金を賭けてしまったかのように、頭が熱で麻痺していた。
 その感覚に、なぜか懐かしさを覚えたのも、一瞬のことだ。


■■■■■■“あの人”が、あの時の私の告白に、どんな言葉を返したのか。
      焼き付いたはずの言葉も――それが、きっと心に焼き付いていたからこそ、もう心はその記憶を消してしまった。
      今となっては、“あの人”が私に言ってくれたことは、一言たりとも思い出せない。■■■■■■

“あの人”が表情を変える。
 その表情の意味がわからない。哀しみなのか、嫌悪なのか、どちらでもないのか――
 何故なら表情よりも視線の方が、ずっとずっと先に、よすがの心に突き刺さっているから。
 ――装わない私の、汚い肌を、見られている。
 その視線だけで頭が真っ白になって、気付いたら家を飛び出していた。

 変身は無意識に行っていた。
 大通りを走る中でアリチェと出くわす。
 そして、彼女の視線の冷たさにまた胸を射抜かれる。
 誰かを――おそらく、前にアリチェに絡んできた男を“処理”したのだろうと直感で理解できる。
 アリチェの表情は、冷酷に沈みきっていた。
 
 よすがは哀願するように言葉を紡ぐ。

「だってアリチェは、こんな顔しないし、子供みたいに無邪気で、おひめさまみたいに綺麗な……」

“こんな顔”を少し前に見たことがあるような、そんな既視感を拭えずにいながら――
 それでも、アリチェの今の顔は嘘だとそう口にする。
 
 アリチェはそんなよすがを、嘲りを込めて高らかに笑う。
 ――笑わせるな、と、彼女は絶叫した。
 
 震えるよすがを、空っぽだとアリチェは指弾する。
 空っぽのくせに。
 嘘ばかりで、偽物だらけで、心の中には何もない人間のくせに――
 その言葉を聞き終わる前に、身体が弾かれたように勝手に動いた。
“あの人”から逃げたように、アリチェのところからまた逃げ出してしまう。
 よすがの頭の、残り少ない冷静な部分は、パニックに陥っている自分を見下ろしている。
 いつかした失敗を繰り返しているような既視感に取り憑かれている。
 それでもよすがの足は止まらない。
 もう家には帰れない、と歩き続けるうちに、魔術と直感が絡み合い、足は自然とアリチェのいる場所を追いかけていた。
 
 ――坂を登る。
 アリチェと再会したのは、小高い丘の上だった。
 丘からは街を一望できた。随分と遠くに見える街の大通りが、よすがにはもう帰ってこられない場所に見えて仕方がない。
 傘を自身を隠すように小さく持って、アリチェは街を見下ろしている。

 彼女の名を呼んでも、アリチェは振り向かない。背中がわずかに震えている。
 なんで、とつぶやく声には涙が滲んでいる。
 きっと泣いているに違いない。
 けれどその考えを、よすがは信じられない。
 街で聞いた哄笑と、今の涙声が、どうしても繋がってくれない。

“アリチェはこんな顔をしない”――

 ついさっき自ら口にした言葉が、もう白々しいとしか思えない。
 泣いているアリチェが、ほんとうのアリチェだと思えない。

■■■■■ここだけは、本当に、自分で自分がわからない。
     冷たく私を嘲るアリチェ。
     そしてその後、顔を隠して泣いているアリチェ。
     そのどちらもが本当のアリチェだと受け入れることは、それほど難しかったのだろうか?■■■■■

「……もう分かるよ」

 きっと分かってなんかない。
 ほんとうのアリチェなんていうものを、よすがは全くわかっていない。
 けれど、もう二度と――あの笑わせるな、という絶叫は、よすがの心から出ていかないだろう。

「さっきのあれが、アリチェの本当の姿なんでしょう?」

 よすがの問い。涙を振り切るようにアリチェは答える。

「そうよ! わたしは、人を傷つけるのが大好き。
 誰かの苦痛にゆがむ顔を見るのが好き――!」

 それがほんとうのアリチェだと、そう彼女は宣言した。
 そしてよすがもまた、それを受け入れる。
 アリチェの名を口の中で呼ぶ。
 自分の中で、彼女がなにか、別の存在になっていることを、心の底で認めてしまう。

「……アリチェは、自分のしたいようにすればいい。
 私が耐える。
 私が受け入れる。
 アリチェのしたいこと、全部私がさせてあげるから」

 しばらくの沈黙。
 後ろ姿のまま、アリチェは肩を震わせている。
 きっと笑っているのだとよすがは思う。
 自分がなんということを言ってしまったのか。
 どれほど越えてはいけない線を超えてしまったのか。
 そんな実感が、じわじわと足を登ってくるのを感じながら。

 沈黙の中、割って入るように足音が聞こえる。
“あの人”が丘を登ってきている。
 まだ遠い。けれど足音の主が誰かは、二人ともきっと直感で理解していて――

「――わかったよ」
 
 そしてアリチェは、その足音の主の来訪を待たなかった。

「わかったから。よすが、もう言わないで。
 わたし……よすがを好きにしても、いいんだね?」

 何も返事は思い浮かばない。
 ――わたしは、順番を間違えた。
 惑いきったよすがの心は、そんな考えにたどり着いていた。
“あの人”よりも先にこの丘に来るべきじゃなかった。
 あのひとこそが、アリチェと会うべきだったんだ――


* * *

■■■■■そしてアリチェは、人間のように考えることを諦めた。■■■■■

* * *

 彼女は良識を踏み外して転げ落ちた。
 少し前の険悪なころすら比較にならない。
 あの時のアリチェには、皮肉を笑顔の中に隠そうとする我慢があった。
 今の彼女は、暴力でよすがを傷つけることすらためらわない。

 どう考えても有り得ない、と思っていた、よすがからの吸血行為ですら何の躊躇もしなかった。
 止めようはなかった――全部させてあげると、そう言ったのだから。

 血を吸われることは痛くなかった。
 ただそれを境にアリチェから“獲物”についての話を聞くようになると、今までは隠し通していたのだな、と胸が痛くなる。
 よすがから血を吸うだけでは到底足りない。吸血鬼という生き物は、肉食動物と同じくらいに大量の獲物を狩る必要があるようだった。
 もしアリチェが誰か特定の人間だけから血のエネルギーを得ようとしたら、それが誰でも、指で日を数える間に失血死してしまうだろう――

 ――よすがは、アリチェのことを、より多く知るようになった。
 けれど知らないアリチェを知る以上に、今まで知っていたアリチェが別の誰かに変わっていくことに恐怖する。
 それによすがの血を流れる〈混沌〉は、吸血鬼にとってはたちの悪い酒毒でもあった。
 吸血のあと、決まってアリチェは今までに輪をかけておかしくなる。
 はじめてよすがの血を吸った直後のアリチェは、ただ“痛がっている顔が見たいから”というだけの理由で、よすがの腹を蹴り上げた。

 無邪気な笑顔がなくなったわけでないことが恐ろしかった。
 ふつうに話すことができないわけではない。
 けれどそのお喋りの中に、境目なくよすがを抉る言葉が入ってくる。 
 そして本当に恐ろしいことに――アリチェは、そんな行為が正しいことだと、時折自分に言い聞かせずにはいられなかった。
 罪悪感が滲んでいる。それは誰にでもある、ごく“ふつう”の感情だった。
 けれどアリチェの“ふつう”はもう、とりかえしがつかないほどに歪んでしまった。

 今のよすがに、自分のしたことを後悔しない時はない。
 自己嫌悪から離れられる時もない。
 ――今までのよすがには、自分を好きでいられる瞬間があった。
“あの人”のことが好きな自分を、大切にしていられた。
 もう、そうじゃない。

「これはよすがのためなんだよ。
 お父様も言ってた。『これはアリチェのためなんだ』って。
 私のことを鞭で打ちながら、そう言ってた。
 よすがは空っぽだから、私がそこに詰めてあげるの。
 辛いことも苦しいことも、いっぱいいっぱい詰めてあげるの」

 そうしてよすがたちは失敗する。
 口にしたこともない当たり前の約束を守ることに失敗する。
 アリチェはよすがを傷つけないでいること、殴らないでいること、肌に牙を突き立てずにいることに失敗する。
 よすがは現実を認めることに失敗する。
 今のアリチェを止めなければならないと、それを認めることに失敗する。

 ある日、部屋に“遊びに来た”アリチェに、しまっていたぬいぐるみを引き裂かれた。
“あの人”に買ってもらった宝物は、ふつうの女の子の手で引き裂けるような安っぽい作りではなかった。
 けれど込められた思い出ごと、そのぬいぐるみを壊すことくらい、今のアリチェには造作もない。


* * *


 それで、不思議なくらいわかりやすく、よすがの心が折れた。
 アリチェと別れてから自室で寝ていると、部屋中に虫が湧き出した。
 紫色の羽虫の群れ。
〈混沌〉が自分の身体から溢れていることを感じる。無意識の魔術で呼び出してしまったのだろうか、という考えが心を巡る。
 隣室に飛んでいって迷惑をかけていないだろうか、ということだけが気になって、数時間をかけて調べて――ようやくそれが、ただの幻覚だとわかった。
 そして安心して、よすがは外出することを止めた。
 アルバイト先に短い電話をかけた後、部屋の電話線を抜いた。
 後は何もせず、何も考えず、何も起きないことを祈って部屋で眠り続ける。

 ――それでもアリチェは、毎日よすがの部屋に来た。
 そういえばどこかで合鍵を渡した気がする、という記憶がわずかに揺れる。
 食事すら遠いものになってしまったよすがに、コンビニで買ってきたパンやおにぎりを食べさせてくれる。
 それを食べ終わらないうちに暴力が振るわれて、殴る蹴るにはもう反応しないよすがに舌打ちし、種々の道具がやってくる。
 ……乳房にハンマーで釘を打ち込まれた時は、叫び声を抑えられなかった。
 針で刺される。ろうそくに灯った火を押し付けられる。どうやら行為は際限なくエスカレートしていくようで、アリチェはしばしば部屋の包丁をじっと物色している。
 ――遠からず、自分は殺されるだろうと、よすがは認めた。
 彼女を止める資格なんてない。けれど、アリチェを人殺しにはしたくなかった。
 それに。
 際限のない暴力が、自分以外の誰かに――ましてや、“あの人”に振るわれることは、あってはならなかった。

 引きこもったままで、けれどとにかく決意は固まる。
 それは覚悟というより、自暴自棄の変種だったのかもしれない。
 これから現実に向き合って生きていくことに比べれば、ただアリチェを止めるという一点を決意することは、重荷でもなんでもなかった。
 いまさら言葉で説得することなんてできない。力でも叶わないことは思い知らされている。
 よすがはただ、自室で〈混沌〉を回し続ける。
 アリチェから与えられる苦痛は、魔術を冴え渡らせるには都合の良い燃料だった。
〈混沌〉の力を制御するには、詠唱と術具により儀式の形式を整えるか、イメージのみで操れるような小規模な魔術を使うか、どちらかを選ぶ必要がある。
 だが今のよすがには、制御という道を選ぶ気はなかった。
 魔術におけるイメージですら正気でない。ただひたすらに自分の肉体と精神を憎悪する。
 痛い、痛い、というただそれだけを核に、自身に身体があることを嘆き、知性があることを憎み、記憶があることを疎み続ける。
 己というものを構成する――自分を、秩序だてるもの全て。
 それを心の底から憎み、心の世界で〈混沌〉への扉をひたすら蹴り続ける。
 時間は飛ぶように過ぎた。集中のあまり、出歩くどころかものを見聞きすることすら難しくなり、アリチェから与えられる苦痛が刺激のほとんどを占めていく。

 ――痛い。
   指先が燃えるように熱い。まるで指をペンチで潰されているみたい。
   いや、実際そうされているのかもしれない。
   もうよくわからないけれど、とにかく痛くて苦しい。
   それにしてもアリチェは何でこんなことを続けてるんだろう。
   もう悲鳴もあげないわたしをいじめても、きっと楽しくなんてないだろうに。
   まるで、私の気を引くために、こんな不毛なことをしているみたいで――

 雑多な想いが巡って過ぎた。
 目を開けた時、夢から覚めたかのように、よすがはひとり寝室にいる自分を発見する。
 幻覚の羽虫はもういない――だがよすがの目に見える現実は、過去の現実とはまるで別物になっていた。
 部屋の白い壁紙の中に鉄筋が埋まっていることと、鉄筋の位置と構造と材質の比率を、目視で理解する。
 アリチェの暗示により、記憶の一部を封印されていた事実を認識する。今ではその時の会話の様子を、一言たりと逃さず追うことが出来た。
 ――その時の自分の愚かさに、顔を歪めるのも一瞬だ。
 今までは集中して発動していたような、魔術による超感覚を、今は生身の五感と何ら変わりなく認知していた。
 魔術師として何らかの悟りを得たと、そう言ってもいいのかもしれない。
 それは仏教的な大悟とはあまりに遠い混沌の悟りだけれど、自分の魂が決定的に変質したことを、よすがは実感していた。

「――――、――――」

 唇がわずかに動いても、何ら言葉は紡がれない。
 何かしら、試しに魔術を詠唱しようとして――詠唱という行為すら、もう不要なのかもしれないと思い至ったのだ。
 過去を覗くのはただそう意識するだけで可能になった。マリナが口にしていた平行世界――それを知覚することすら、何も困難はなかった。
 物質に干渉する魔術も掌中だ。試してみると、力むまでもなく部屋の壁が粘土のように曲がっては元に戻る。
 数秒ほどは、“なんでもできる”という万能感に満たされた――
 けれど次の瞬間、とある平行世界の自分が〈混沌〉に取り込まれて消滅したことを、よすがは知覚する。
 愕然とした。
〈混沌〉に近づきすぎた代償を理解する。今のよすがは魔術を学んでいるのではない。魔そのもの、〈混沌〉の力そのものになりつつあるのだ。
 けれど愕然としたのは、自分が消える恐怖からではない。
 ああして消えられたらどんなにいいか、と心から羨望している自分によすがは愕然とする。
 魂は〈混沌〉の重みにねじれ、もう自分の命すら、〈混沌〉の一部として以上の重みを実感できない。
 決意を抱いた時の責任感を、そしてアリチェと“あの人”と――三人でいた頃の思い出を、よすがは必死に呼び起こす。

 そして、最後の魔術のための、準備を始める。
 儀式張った術具はもう必要ない。
 けれど、ある種の道具が、今のよすがには必要だった。

 それは魔術を強めるためではない。
 魔術のちょっとした反動で、跡形もなく消滅したりしないように――今のよすがには、自分を留めるための錨が必要だった。

 部屋の中にあったビー玉に指が止まる。
 数は三十一個。きらきらと輝く駄菓子みたいなガラスのかけら。
 それについての思い出は、何の苦労もなく呼び起こせたのに、考えるには痛みが伴った――

 このビー玉は、よすががアリチェと一緒に決めた目印だった。
“あの人”と出会う前、そして出会った後の平和だった短い時間――
 二度同じ使い方をしたのだ。アリチェがお金の使いすぎを我慢できたら、よすがからのご褒美としてビー玉をあげよう、と。
 そして“あの人”と親しくなった後、三人で約束もした。
 ビー玉がワインボトルをいっぱいにするくらい貯まったら、みんなでホームパーティをしよう、と。

 よすがは思う。
 ――ああ。
 わたしたちは、本当に、“違う”道に行ってしまったんだ。
 その約束は、もう遥かに遠ざかっていた。
 アリチェがほんとうの意味で制御できないものは買い物ではなく自分の心そのもので、今のアリチェは心を御する意義すら見失っている。
 なくなった約束を思い出すことは胸をやする。けれど今必要なのは、よすがに痛みを思い起こさせる何かだ。
 現実を踏み越える代償は、自分が幻のように消えるという危機だった。
 これ以上〈混沌〉に親しむことは、もはや人間には不可能だ。

* * *

■■■■■そしてこれが、このノートに加筆をする、ほんとうに最後の機会だった。
     けれど今となっては、何も書くことを思い浮かばない。
    『いままでありがとう』
    『はなしてくれて、わらってくれて、あそんでくれてありがとう』
     そう、前のページに私は書いた。
     アリチェとあそべてよかった。
     三人であそべて、よかった。
     けれどもう、あの子たちとあそべない。■■■■■


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