第4章最終景・大幅加筆訂正

 本来この小説の物語自体に関わる変更は完結後に行う予定だったのですが、後々に関わる重大な矛盾が発見されたため訂正しました。 
 既読者の方には申し訳ありません、変更内容の抜粋は『続きを読む』で読めます。


 アリスはエマの立場と素性を知らない。今は安酒場の女主人らしいが、昔は何をやっていたかなど聞きたくもない。
 ただその言葉には、少しだけ心を動かされた。
 
 
 エマは本当に3ヶ月ぴったりで失踪し、アリスの肩もその頃にはぎこちなく動かせる程度に回復していた。
 そしてその頃、〈石船〉の町は見事に渦竜ノアに奪い返されている。
「――投げられ損、か」
 アリスは墓守のいなくなった墓場を見ていた。疫病への対策のため焼かれてから骨を埋められていた筈のその場所は、今や単なる死体ゴミ捨て場と変わらなくなっている。
 彼女の住む〈展望〉の町には――門番の移民に対する厳しさは尋常ではないというのに、それでも大量の移民が落ち延びてきていた。
 戦いに敗北し、それでも命が有るならば逃げるしかない。あるいは荒野か森に、あるいは都市の中に。
 足音を聞き、アリスは身に付けていたフードを顔を隠すまで被り直した。裏通りに小汚い娘が歩いていれば、それだけで尋問・・の対象になるからだ。
「……う、あ」
 頭が痛い。今までは左目だけだったのに、唐突に理不尽なくらいに痛みだす。
“何人死んだ?”
“何人見殺しにした?”
 心中の声に反論などない。代わりに頭痛によって打ち消そうとするのが、無意識の心の働きだ。
「う、うう……ぁ、いや、いた、い――」
 何にしろ、その相克はアリスには耐え切れない。
 ぶつぶつと呟きながら、よろめいて路地を歩く。
「あ――そう、そうだ。おしごとしないと、あたし、死んじゃう、死んじゃうから」
 そんな事に精神を逃避させようとするアリスは、今の自分に相応しい仕事が何かをさして考えていない。
 彼女はただ歩き続ける。
 自分が救われる事を願って。身体が傷付き、心が汚れてしまっても、いつかどうにかして人を救おうとする心を取り戻せる事を祈って。
 
 
 3年が経過し、どうにもならなかった。
 今の彼女はエマの住んでいた家の屋上に昇り、そこから空を見上げている。


(要するに、4年もかかって圧倒的に弱い敵の最大の拠点を落とせないような国はおかしいと言う事です。
 間違っているだけならまだしも後の物語にも重大な影響を及ぼすため、このように変更しました)

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